Fiction Factory

ゲーム実況風プレイ日記&考察中心 常にネタバレ注意
終わりも始まりもない物語
ある物語

ここに、少女がいる
彷徨う少女はひとりきり
濡れる瞳に影さして 彼女は闇に融けていく
記憶に夢を託して 散りゆく光を眺めながら

少女は友になる者に出会う
だが、少女は忘れていた
ここにいる理由を 自分が何者かを

「ねえ、あなた。なまえは?」

少女は首を横に振り、わからないと答えた
友は怪訝な顔をした。それでも、

「わかった。ねえ、私のおともだちさん?よかったら
 迷子の私と、この森を抜けだす方法を考えてくれない?」

森に座り込んでいた少女を、友は助け起こした
名前も知らない少女なのに

少女は友と旅に出た
自分が何者なのか知るために
友は少女のために

少女は友に聞いた、なぜ自分のために旅に出るのかと
少女は考えもしなかった
自分が何者であるかなど、どうでもよかった
それなのに、友は少女が何者であるのかとても知りたがった

友は答える

「あなたが自分のためだと考えていなくても、私はあなたに
 恩があるの。それにね、自分が何者なのかわからないなん
 て、そんなのだめ」

少女は、どうして?と尋ねる

「あなたは、あなたしかいない。誰かがあなたをおとしいれた
 にせよ、何かの事故で記憶がないにせよ、たった一人の大切
 なともだちなの、あなたは。

 原因を突き止めて、あなたの帰る場所を一緒に見つけたい。
 そうすれば、あなたのその、どこか不安そうな顔を幸せに
 できるかもしれないでしょう?」

少女にはその言葉の意味が、わからなかった
けれど、友が心配していることは、なんとなく気付いた

うなずく少女に納得したのか、友は少女の手を引き歩き続ける
少女の記憶を集める旅へ

やがて少女は友に親しみを覚えるようになる
そして不安も大きくなる
理由のない不安

このまま進んではいけない、そんな気がした

それでも少女には友を止められなかった
止めるのが怖かった

歩き続けた二人は、闇にたどり着く
無音、無風、無感
何もない闇

記憶のかけらはもう十分だ

少女は世界の記憶だった
友は、記憶にとどまる唯一の親友だった
その親友に

少女は冷たい鋼を向ける

「どういうこと?」

急なことに、友は動揺を隠せない
それでも声音は揺らがない
友にとっても、少女は唯一無二の親友だった

わたしは記憶

友の問いに、少女が答える

「なにそれ、わからないよ」

わずかに震える友の瞳はそれでもしっかり少女を見つめた
永遠のような、一瞬のような
実感の湧かない時間が流れる

二人は刃を交えた

友は必死に少女を傷つけまいとし
少女は一寸も表情を変えずに淡々と友に刃を振り下ろした

「なんで?なんで私たち、戦う必要があるの?!」

友は、かろうじて刃を食い止める
それでも少女は押し切ろうとした

「何のために戦うのか、そんなことわからない」

無表情で切りつけながら、少女は友の問いに答える

「裏切るの!?今までずっと、一緒だったじゃない」

友のその言葉にも少女はいっさいそよがない

「ぜんぶ、知ってた。いや、思い出した。おまえは要らない。
 それは誰のためでも、何のためでもない。少なくとも私に
 とっては」

「ではなぜ、戦う必要があるというの?」

「なかったものだから。ありえないから。私たちが存在することは」

少女は振り上げた鋼を、友に当たる寸前で止める

「どういう意味?」

友は恐怖で目を見開き、つるぎを持つ腕を震わせながらそっと下ろした
二人は、お互いを見つめ合う

「この世界は、私自身の夢。わずかに残された私の意識が見た夢。
 そこに存在するものは何もない」

少女の顔は友を見る。けれども瞳に光はない。

「自分の言っていることの意味がわかっているの?」

「この世界には、初めから何もなかった。おまえも、私も存在しない。
 これは私の意志ではなく、夢の創りだした運命なの」

少女は薄い笑みを浮かべて友に語りかける
友にはそれが、どこか機械的に見えた

「私は、夢に操られたただの記憶。バラバラに砕けた記憶を、おまえが
 集めてくれた。意志などない。私に意志があったのは、この記憶が器
 に満ちていたときだけ。

 記憶は、記憶通りの結末しか導けない。未来を視ることも、過去を顧
 みることもできない。事実しか作れない、だから」

少女は冷たく言い放つ

「だから、戦うの?」

友はその顔に悲しみを浮かべて刃を捨てた
少女の腕には、赤濡れた友の亡骸が、重たい泥のごとく覆いかぶさる

少女という記憶は

友をその手で屠ることで完成した
そして、二度と少女は目覚めない
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