Fiction Factory

ゲーム実況風プレイ日記&考察中心 常にネタバレ注意
初夏
 「くそぅ、暑い!」広々とした大平原で、イラついた声がこだまする。
声の主は上着を脱いで肩に担いだ。「やめろ、おまえが暑い暑いって騒ぐ
から余計に暑苦しくなるんだろうが」愚痴る大男にあきれた視線を送りつ
つ、こちらも声音からイラつきが垣間見える。かいた汗で武器の携帯袋が
太股にべたべた貼りつくのを、ライトニングは不快に感じていた。

 「ライトさん、暑くないんですか」少年も手袋を外して軽装になってい
た。「こういうのは慣れだ」二人を無視して先へと進む。涼が取れそうな
場所は見当たらない。「おっさんのことも気遣ってくれや」半裸のサッズ
がぼやく。
 
 「私でも暑いのになー」後から歩くファングはライトニングの言葉を受
けてひとりごちる。「それ以上脱げないもんね」パタパタと手で扇ぎなが
らヴァニラがその後ろについていた。

 「なあ、ファング、ヴァニラ」ライトニングが歩みを止める。「なんだ?」
それに合わせて全員が足を止めた。「そろそろ水筒の中身も心許ないし愚痴
も増えてきたからな。近くに休めそうなところはないか?」それを聞いて、
ファングとヴァニラは顔を見合わせる。「うーん。地形が変わってなければ
ちょとした水浴びができる程度のなら近くにあると思う」口を開いたのはヴ
ァニラだった。

 数百メートルほど歩いたところにそれはあった。十分な深さと広さのある、
綺麗な泉だ。「ここだ。水は飲めると思うが、一応沸騰させてろ過してから
の方がいいだろうな」ファングは泉をあごで指して示した。「外は暑いです
けど、ここの水は冷たいですね」ホープが水に手を入れている。

 「よーし、いくぜっ」大きな水音がホープの横をかすめる。スノウが飛び
込んでいくのが見えた。「うっひー、冷てっ」「あ、ずるいですよ!僕も……
あ、でも服が」着替えがないことに気付く。「ライトさん、服を乾かす時間は」
言いかけたところで、ライトニングの表情が固まった。「ない、ですよね」
諦めてため息をつくにとどめる。

 「走ってりゃ乾くさ。私は止めねーよ?」ファングが勢いよくホープの肩を
押し、少年は服ごと泉に滑落した。「酷いです、ファングさん……」こぼしな
がらもまんざらでもないのか、少し深いところまで泳いでいく。

 「じゃあ、私も」と、ブーツを脱いだところで「ファング、手伝ってくれ。
6人分一気にやるぞ」ライトニングから声がかかった。鍋はキャンプ用の道中
に拾ったぼこぼこになった1つだけだ。安定させるように薪を組むだけでも
ちょっとした大仕事になる。

 そして、ようやく6人分の飲み水を水筒に入れ終わった頃。「うちらもさ
っぱりしねーか?」ファングが提案した。「却下だ」ライトニングの返事は
冷たい。急がなければ、という気持ちから。「よし、それなら」ファングは
にやり、と不気味な笑みを浮かべる。正面からライトニングを仰向けに倒し、
ジャケットのホックを外しにかかった。

 「な!やめろ、ファング!!」ライトニングの言葉に耳も貸さず、スロウと
ペイン、フォーグをかける。「ヴァニラ!こいつを預かってくれ」脱がせた
服をヴァニラに投げつけた。「え?あ、なるほど!」ヴァニラもファングの
やろうとしたことに気付いたのか、受け取った服をライトニングから離れた
場所に置きに行く。

 「スノウ!ホープ、サッズ!!悪いけどそろそろ上がってくれるー?お湯沸
かした火が残ってるからそこで服乾かしててって」置き場から戻ってきたヴァ
ニラが水浴びをしている男性陣に声をかけた。

 「や、やめ、、、ろ」ライトニングはペインの効果で体が痛み、思うように
しゃべることもできない。彼女を、ファングは担いで泉まで連れて行った。
そのままおもむろにライトニングを泉に浸からせる。

 全裸のまま、泉に放置されたライトニングをよそ目に、ファングとヴァニラ
も泉に浸かる。こちらは服を着たままだったが。幸いにも、お湯を沸かしてい
た場所からここは見えない。

 だが、ライトニングの服はたき火の向こうだ。

 彼女がどうやって泉を出ることになったのか、それは神のみぞ知る。

関連記事
Comment
≪この記事へのコメント≫
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
Secret: 管理者にだけ表示を許可する
 
Trackback
この記事のトラックバックURL
≪この記事へのトラックバック≫
Designed by aykm.