Fiction Factory

ゲーム実況風プレイ日記&考察中心 常にネタバレ注意
帰れない
ガチで怖い夢見たのでめもる。と、いいつつ長い。
 あれは、いつものようにいつもの電車に乗った時だった。ふと目が覚めると、
俺は何かの施設にいて、周りは赤黒い照明の射した研究所にいた。そして、そこ
には洋服を着た人間と猿とクマを合わせたような、大柄で不気味な生き物が徘徊
していたんだ。

 彼らは無害だった。研究員が彼らを元の場所に戻して、帰るところだったんだ
けれど、施設の入り口に男の子と女の子、俺の知らないその子たちが座って遊んで
いたのを見つけた。

 俺は彼らに「もう帰る時間だよ」と声をかけた。だが、彼らからは「嫌だ。も
っと遊ぶ」と言って、耳を貸さない。しかたなく近くにいた青いジャンパーを羽
織る男性研究員に「この子たち、帰さなくていいんですか」と伝えた。研究員が
対応したが、彼らはやはり応じない。

 そこへ、一人の女性研究員がやってきた。赤黒い照明のせいで、顔はよく見え
ない。「まだ、しまえきっていないみたいですよ」例の不気味な生き物は、収容
され切れずに俺が施設の入り口に来るまでも何人も見かけた。だから、それを彼
女に伝えたんだ。

 「また?やっぱり根元を絶つしかないか」そう言って、彼女は奥へ入っていく。
しかし、それを男性研究員が引きとめる。「あそこに入る気か?」どうやら彼女
は研究施設の中でも危険区域に足を踏み入れるつもりだったようだ。

 そして、何事もないかのように時間が過ぎる。通された部屋は、広い一面ガラ
ス張りのスペースで、いくつもオーバル型の木製テーブルが並び、テーブルの中
央にはDVDプレイヤーとTVがしつらえてあった。外は夜だ。

 何人かがDVDを見ながらくつろいでいる。俺は、そのなかで何か不安を覚えなが
ら外を眺めていた。しばらくすると、警報機の音がけたたましく鼓膜を殴りつけた。
部屋を出て、そばにいた研究員に事情を聴く。

 「しずかさん、何したんだろう?」若い男の研究員だが、先ほど一緒に子供た
ちをなだめていたのとは違う人だ。名前はわからない。「差し支えなければ、
あの人の名前を教えていただけますか」これだけで通じた。「……しずかさんだよ」
苗字は警報器の音のせいでうまく聞き取れない。「あの人、また何かしたのかい?」
若い研究員が尋ねるのでこう言ってやった。「しずかさんは、あの生き物の発生源
を潰して、あれが表に出ないようにしたいみたいです」と。

 あの女性研究員は、奥へ行く前に俺に簡単な状況説明をしてくれた。しかし、意
思の強さを見せる口調とは裏腹に、状況説明で使われた図はいいかげんで、全く意
味を介さない代物だった。「彼女ならやりかねないな」研究員は小声で漏らした。

 そして、研究所の扉が壊れ、俺たちに避難勧告が出た。俺たちは必死で走った。
オランウータンのようなものが俺たちを追いかけてくる。

 そこで目が覚めた。まだ、俺は電車の中だ。立ったまま寝ていたらしい。

 人心地ついてみると景色が見覚えのない山中に差し掛かっているのに気づく。緑
のコケが茂る岩山に、ぽつりと丸太小屋が立っている。近くにいた若い女性に「今
何時ですか?」と、尋ねると俺が電車に乗ってから45分も経過していた。

 いつもなら15分で着くのに、とふと頭に浮かんだ。そして、一瞬間をおいて、乗
り過ごしたんだ、と焦った。しかしそれもほんの一時的なもので、もはや遅刻確定
だ。あわてても仕方ない、と次の駅を待った。

 そして、駅を降りてまた違和感に気づいた。確かに駅に降りたはずが、俺の後ろ
に電車はない。前方に広がるコケむした湿った下り坂の地面、大きな岩肌も見える。
さらに、道の中央にはロープと、黄色いソファーのようなリフトが浮いている。

 夢だと思った。顔を叩いてみた、感触がない。空恐ろしさを感じたが、電車もな
く、前に進むしかなかった。それでリフトに近づかないように坂を下っていくと声
が聞こえた。

 「来たな。こいつを追って、ポイントを取るんだ」知らない声が頭に響く。まも
なく大きな咆哮とともに犬のような猿のような生き物が現れた。ゆうに2mは超え
る大きな生物だ。それが、俺の眼前を走り抜ける。

 ゲームのように、ぽんぽんと弾みながら生き物は坂を走り下っていった。俺は聞
こえた声にしたがった。怖くなって、拒否できる状態じゃなかったんだ。

 そして、坂の終わりにたどり着いた。白っぽく、つるつるして、乾いた岩の洞窟
を見つけたのもつかの間。俺は家の玄関にいた。俺の家だ。気づいたらそこにいた。
だが、実際には俺の家とは似ても似つかない。

 なのに、俺はそこを"自分の家"だと知覚した。

 俺のノートパソコンを見つけた。小さな木製テーブルの上にぽつんと置いてある。
窓際で明るい。ノートパソコンには、よくわからないデジタル数字が張り付いていた。
請求料金、とかかれたプレートともにデジタル数字がぐんぐんとケタを伸ばす。

 言いしれない不安に駆られて電源を入れ、リビングを見回す。

リビングでは何故か赤黒い照明が光っている。その明りの下に、見覚えのあるものを
見つけた。猫だ。薄灰色の小さな猫。ロシアンブルーという品種だが先天性の障害で
体が小さく運動能力も低いが、子供っぽさを残す俺のかわいい猫だった。

 無言でその猫をかき抱く。猫は文句も言わずに俺に抱かれていた。俺も不安を抑
えられて少しだけほっとした。しかし、すぐに気づいた。薄灰色の猫が、俺の周り
にたくさん、座って監視している。

 どれも飼っていた猫とは容姿が異なる。毛の妙に長いもの、目つきが鋭いもの、
目の色と毛の色以外は全く違った。自分の飼っている猫なのに、恐怖を感じた俺は、
抱いていた猫を突き放し、部屋の端で膝を抱え震えた。

 それから数時間が経ったように思えた。窓の外に父が見える。声をかけたが反応
がない。窓を開けてもう一度声をかけようとした。父はあとかたもなく消えていた。

 怖ろしさに身をこわばらせながら、外の様子を見に行ってみた。

 家の外から家を見てみる。それは、電車の中で見ていた白昼夢の、あの丸木小屋
だった。外は生い茂ったコケと、大きな岩、少し先には巨大な雲が家の周りを囲う。
逃げられない、と悟った。

 それだけ見て一通り絶望すると、俺は家の中に戻った。

 怖い。帰れない。帰して。

 絶望の言葉が頭の中でこだまする。俺は混乱で叫び出したのを実感した。

 そして、ようやく目が覚めた。見知った部屋の、ベッドの上で俺は息を切らしな
がら横たわっていた。夢が現実でなくてよかった。本気で、そう思う瞬間だった。
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