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ゲーム実況風プレイ日記&考察中心 常にネタバレ注意
時の残滓 第27話
 階段を下りた先で、幅の狭い通路に出た。白いライトが金属の無機質な壁に反射し、
私たちを光の中へ誘っているように見える。長い通路のわかれ道を左に折れた。奥
には銀色の扉がある。イリーは、すっと白い右腕を扉にかざした。音も立てずに扉
が開く。

 しばし唖然としていた私を、イリーは後ろから回り込んで部屋に押し倒す。寝間着
が擦れて、びりっと音がした。起き上がって彼女をにらみつける。まるで囚人のよ
うな扱いだ。いや、事実私は罪を犯した。そもそもあれがきっかけで私は下へ落ち
て、そして今、ここにいる。イリーやゼプトが私とどういう関係があるのかは知ら
ないが。

 白い肌に真紅のワンピースといういでたちは、まるで彼女の性格を写しているよう
に思えた。そして違和感に気づいた。丈の長いワンピースで隠れているが、彼女は
裸足だ。理由など、この時はどうでもよかった。

 イリーは怖ろしい笑みを浮かべて「さあ、お楽しみの時間ね」睨みつけている私の
目と鼻の先でささやくように言った。手錠を後ろ手につけたまま、革手錠で両手首
を締め上げられる。摩擦で痛い。そして金属製の手錠の鎖を引いて私を壁際に押し
付けた。

 短い電子音が背後で鳴るのが聞こえた。その後で、金属製の手錠の方を外されるの
が感覚でわかる。私の両腕は、そこからどうにも動かなくなった。「これは?」何
をする気か知らないが、そこまで拘束されるいわれはない。私が暴れた、というの
であれば別として。

 「ん?そりゃあもちろん、あなたのために決まってるじゃない」素っ頓狂な答えを
返してきた。「ここまで拘束する必要がありますか?私は逃げも隠れもしませんが」
せいぜい虚勢を張ってやった。どこまで本気か、自分でもよくわからなかったけれ
ども。

 「わかってないのねぇ……」身長は私の方が上なのに、彼女は私を上から見ている。
体を動かそうにも、この体勢では難しい。壁から少しでも離れようとしたなら、両
腕がもげてしまいそうだ。

 「暴れられないでしょう?痛いでしょう?もっとあなたの体が柔らかければいいけ
ど、難しいよねぇ」後ろ手に拘束されているだけでも十分動きづらいのに、さらに
イリーは私の両足首を、床にセットされていた革製の足枷に固定していった。これ
では本当に手も足も出ない。

 「ふふふ・・・・・・おいしそう」何を言っているんだこの女は。「ねえ、どんな鳴き声
をしてるの?どんな苦痛の顔を、見せてくれるかしら?楽しみでしょうがないの!!」
彼女が私に顔を近づける。興奮して息が上がっているのがわかる。狂ってる!

 両腕を私の首に絡めてきた。「大丈夫、殺しはしない。命令だから」声色はやさし
いのに、怖気が走る。そして、すっと私から腕を放したかと思うと、部屋の隅にあ
る棚の中を探る。光る何かを手に持って、私に近づいてくる。ナイフだろうか。親
指ほどの長さの刃がついているのが見えた。

 「怖いの?」冷たい笑顔が私を凍らせる。できるだけ目をそらすことにした。「何
をしようって言うんです?」代わりにそう答えた。「その前にお仕事?じゃあねえ、
なんであなたは、あんな子と一緒にいたの?」ラギ?ラギがこの女とどんな関係が
あるんだ。「彼女とあなたに何の関係があるというんですか」エニアのことは心配
だったがラギを巻き込むわけにはいかない。「どこ見て言ってるの、アイリス?」
怒気を含んだ口調に、顔を見ていないのにぞくぞくする。

 「じゃあ、言うこと聞くまで私、付き合っちゃうから」お腹に、思い切りナイフが
突き立てられた。痛みでうめく私を、彼女は面白そうに眺めている。「この服、邪
魔ね」手錠を外して脱がせるのも面倒だったのか、イリーは私の寝間着をボタンご
と引きちぎった。

 空調が聞いているとはいえ、風通しが良すぎて違和感だらけだ。先ほど刺された個
所から、生温かい赤いものが私の太腿まで流れてきていた。
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