Fiction Factory

ゲーム実況風プレイ日記&考察中心 常にネタバレ注意
FF8:エンディングネタ「もうひとつのオワリカタ」
注:バッドエンドです

バッドエンドです






ええ、バッドエンドですよ はい。


大事なことなので3回書きました。


 人には、見えないものがたくさんある。きっと、目に見えているものは全部ウソ
で、本当なんてないのかもしれない。あのときのわたしは、信じたかった。見えて
いるものが、全部本当だって。だから頑張った。だから信じた。みんなを。



 「スコール?」相談したいことがあった。だからわたしは、あの人の部屋の前に
立った。出てきたスコールは少し眠たそうだったけど、何も聞かずに通してくれる。
ずいぶん時間が経っても、わたしはドアの前で一言も漏らさず、棒立ちになってい
ただけだった。

 「話があるんじゃなかったのか?」暇に耐えかねたのか、スコールはわたしをじ
っと見つめたまま問いかける。その鋭いまなざしは怒っているようにも見えるし、
怯えて警戒しているようにも見える。

 「……うん」自分でも、声の震えがわかる。「となり、座っていい?」小さくう
なづいたのを確認して、ベッドの上に座るスコールのとなりに腰掛けた。

 「話は聞いてる。ただ、今の俺が言えるのは、リノアはリノアのままでいい。そ
れじゃダメか?」今度は顔も合わせない。「わかってるよ。でも、わからないの」
反抗心なんかじゃなく、目を合わせられなかった。



 アルティミシアがいなくなった今、私は魔女だった。あれから、イデアにもいろ
いろアドバイスを貰った。本当のことを知る人は、ほんの一握り。スコールを助け
たあと、わたしが何をしたかは覚えてない。気がついてガーデンに戻ってみたら、
みんなは祝福してくれた。

 それからしばらくして、わたしは現実を知った。

 たくさんの誹謗中傷の中に、わたしは取り残された。アルティミシアが刻んだ大
きな傷跡が、わたしを蝕んでいる。気がつくと、わたしの周りで何かが起きている。
気がつくと、そばで誰かが倒れている。何かが壊れている。

 無意識だった。

 自分でコントロールできない。

 検査、検査、検査。

 わたしの体は、自分で制御できない暴走機械だ。

 小型の封印装置で、抑えているつもりなのに、気がついたら封印装置の予想値
を超えて、魔力が暴走してしまう。それを繰り返すうち、とうとう効かなくなっ
た。まるで、薬みたいに。

 そんなふうになっても、スコールはわたしをかばった。まだ、魔力を使い慣れ
てないだけだと。魔力を抑え込む訓練は、もちろん続けている。ただし、わたし
の場合は後天的に、しかも莫大な魔力を宿したがために、あのオダイン博士でさ
えもわたしの魔力を自分で抑え込むのは無理に等しいとまで結論付けている。

 けれど、魔女は死ねない。

 そんなことは誰でも知ってる常識だ。ただ、わたしは否定したかった。恐れて
いたことが、全部目の前で起きている。死ねない以上、永遠にあの封印施設で眠
るしかない。それにしたって成長し、暴走していく魔力に打ち勝つための封印施
設を作るのにも何年もかかると説明された。

 居場所がなかった。

 あの時、一緒にいた仲間たちはわたしを受け入れてくれていた。けれど、わた
しが問題行動を起こすたびに、責任者として呼び出される彼らを、わたしはこの
手で……。

 いつも、覚えていない。

 何をしたのか。なぜしたのか。

 意識のあるわたしの前で、あの時のみんなは笑ってくれる。でも、だんだんと
距離が離れていった。わたしが一歩進むたびに、みんなは一歩下がった。そして、
たくさんの恐れの視線がわたしを突き抜けていく。



 スコールの部屋に行く数時間前のこと。わたしは、呼び出された。見覚えのな
い名前に。『誰にも言うな、ひとりでこい』そう書かれたメモが、わたしの部屋
の扉に引っ掛かっていた。

 そのメモには、もうひとつ。『こなければ、大事なものを失う』そう書かれて
いた。普通なら、怖いに決まってる。なのにわたしは、無意識だった。そのとき
は、そうだった。メモを見てから、指定の場所に行ってあの時を見るまでの記憶
がすっぽりと抜けていたから。

 無意識から目覚めたら、人が倒れていた。大丈夫。死んでない。そう思った。
いつもは、そうだった。少なくとも、いくらわたしが傷つけても、命まで奪った
ことはなかったから。

 わたしは、いつも通りになってしまったけれど持たされていた通信機でセル
フィたちを呼んだ。雑音が聞こえる。応答していない。そのときには、嫌な予感
が旋律となってわたしの体を駆け上がっていた。

 脈打つわたしの心臓が、体から飛び出してしまいそうな勢いだ。倒れている男
の子は、10歳くらいだった。短く刈り込んだ黒髪に夕焼けと血の色が入り混じっ
ている。

 体調を確認しようと、顔をこちらに向けさせた。首は、ありえないくらいに綺
麗に回った。体とはくっついている。よく見ると、首の回りを一周するように、
1mmにも満たない細さの線が入っていた。首周りも、赤くて粘り気を帯びている。

 全身の血が、わたしの中を逆流する感覚に襲われた。こんなこと、あるはずが
ない。目の前で起きたことを、わたしは必死で否定した。けれど、ウソにはなら
なかった。

 あとで聞くと、頭の傷は背後にあった壁に強く打ちつけたことでできたものだ
った。首の方は、何をしたらこんなに綺麗に切れ込みが入るのかわからないと言
われた。



 「どうして、抑えられないのかな」自嘲気味に話しても何の慰めにもならない。
「それは俺にもわからん」スコールの声は、わたしの中で重く響く。「どうした
ら、いいかな?」何らかの期待を込めてスコールに聞いてみても「わからない」
と返された。

 誰にもわからない。

 「そうだ」そう言うなりスコールは、いきなり立ち上がった。「え?」何を思
いついたのだろう?「未来だ。未来に行くんだ」自信たっぷりなのが少し子供っ
ぽいようにも見えた。

 「未来に行って、どうするの?」なんとなく、嫌な予感がする。「未来に行く
んだ。どういうことかわかるか?」首を横に振った。「逃げるんだ。逃げて、生
き延びる。そうしたら、リノアを制御できる装置がきっとできるはずだ」もちろ
ん、時間が許すならそうしたい。でも、「違うの、スコール」わたしは別の恐怖
があった。

 「わたしは人を殺したの。もう、嫌なの」生温かく、塩気の混じった体液がわ
たしの頬を伝う。そして、わたしはまた……無意識になった。「リノア!」遠く
で、スコールの声がする。

 でも、もう届かない。

 目が覚めたら








 何もなかった。わたしの体も、景色も、スコールも、みんなも。何も。
 そして、見覚えのない星が、わたしのまわりをくるくると回っていた。 
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