Fiction Factory

ゲーム実況風プレイ日記&考察中心 常にネタバレ注意
SSもどき:いつかのゆめをおもうとき
 「どうしてだよっ!」

叫んだ声が、自分のものではないように聞こえた。まるでぼくが、二重人格で
もうひとりのぼくは上からこっそり覗いているみたい。それでも、まぎれもな
くぼくの声が、あたりに鳴り響いたんだ。ぜいぜい息を荒げて、納得できない
だの、わかるように説明しろだの、ぼくは質問というより咆哮をあげるかのご
とくまくしたてた。

 結局、それでも納得のいく答えはでなかった。当たり前だ。だって、ぼくは
相手のことばなんて聞いていない。聞いていないものを納得するなんてことが
誰にできるって?ぼくを納得させられるのは、他人なんかじゃない。ぼく自身
であって、唯一ぼくだけがぼくをぼくのものにできる。

そうしているうちに、相手はうんざりしたように溜息を吐いた。見ているぼく
は何も感じないのに、叫んでいるぼくはそれを見て怒りに火をともしたのか、
耳まで真赤だ。

気がついたら、ぼくはそばにあった椅子を担ぎ上げて思い切り振り回してた。
自分でも見ているのが怖いくらい、ぼくは猛獣とかの人間じゃないものになっ
て暴れている。

怖い……

そして思った。ぼくは、二重人格じゃないと思う。だって、ぼくはぼくを見
てる。二重人格ってもう一人の人格はもう一方の人格を見てるなんて聞いた
ことがない。聞いたことがないだけで、実際はそうなのかもしれないけど、
今そんなことはどうでもいいことだ。

とにかく、ぼくはぼくを見てたんだ。

怒りの感覚は伝わってくるのに、ぼく自身の意識はこうして動いているぼく
を見ている。ぼくの体の意識だけがぽっかりと1人で抜け出して、神様みた
いにぼくの体を遠目で見るんだ。

そして、ぼくは椅子を投げた。相手に向かって。

そしたら、目が覚めた。ぼくの意識は動いていたぼくと同化した。ぼくは
また、心と体が一つの器に収まったのだ。返り血で、顔まで赤い斑点の花
弁がぼくを染め上げていた。

震えているのがわかる。椅子を投げた形のままだった両腕を下ろして、膝
をがくりと落とした。倒れた相手はもうぐちゃぐちゃで、どこも見ていな
い。だって、見るための道具がその人からとうの昔に外れちゃっているん
だから。

今、目の前に広がっている光景はまるで嘘の世界だ。

ぼくがさっきまで見ていたぼくと景色とは近いけれど、全然違った。事態
はもっと酷かったんだ。怖くて、胃の中身をぶちまけた。全部吐き出した
ら、もっと床が汚くなっていた。

いつか、そんなゆめが現実にならないように――ぼくは、どうしたらいい
んだろう?
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